考える写真、2,ボケ

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ボケ

最近ボケはカメラとレンズ次第の物で、腕と関係がないという話をよく耳にします。この言葉をどのような意味でおっしゃっているのか言われた人それぞれで違うと思いますが。

「ボカしとけばそれなりに見えるだろう」という、安易なボケ表現への警鐘だと思います。

ボケ表現そのものが悪いのでなくボケにどういう意味を込めて、どのような表現に活かすか、というように使い方次第ではないでしょうか?

 

人間の目

ボケは人間の目の機構としても自然なことです。

目の前に人差し指を立てて見てみると、人差し指の後ろはボケています。

反対に少し遠くの物を見た時には手前の物がボケて見えます。

ピントとボケの関係はカメラ特有のものでなく、自然なことです。

 

 

ボケは古くからの日本文化

写真のボケ表現は日本が発祥らしく、外国でもBokehといいます。

眼の前に人差し指を持ってきて、人差し指を見ると、後ろがボケます。

1m先のものを見ると手前も後ろもボケています。

なので、人間の目の機能から考えると写真によるボケ表現は不自然なものでもありません。

ボケは日本が発祥の技法であるのはきっと書道や、水墨画の滲みによる表現がベースになっているのではないでしょうか。滲みという表現が日本人の美意識として根付いているので、写真のボケという技法が生まれたのではないでしょうか。

書道や水墨画は滲みの表現のために、技術も鍛錬しますが、紙や炭といった道具にもこだわるそうです。

なので、ボケのためにレンズにこだわることも日本文化では普通の事だと思います。

ボケのためのレンズという発想は(カメラ及びレンズはしっかりとはっきりと記録するための物だから)本末転倒だと言われる方がいますが、日本人の美意識から考えるとボケのためのレンズということも自然な事ではないでしょうか。

 

ボケの使い方

使い方によってはボケは汚いボケになって、写真の雰囲気を壊します。特に思うの、前ボケのきれいなレンズって少なくて、この写真前ボケ作らない方がきっとすっきりするなと思ったりもします。

ボケのきれいなレンズを使えば綺麗なボケができるのではなくて、そのボケ味に合った使い方が必要です。

構図をすっきりさせるためにボケ表現を使う事も多いですが、ざわざわしたボケは逆に構図がうるさくなります。

 

うるさいボケ

背景うるさいですよね。思いっきり絞って背景きっちり見せたほうがすっきりしたのではないかと思いますが、それ以前に被写体選びで失敗してます。

汚いボケと言えば二線ボケが代表的で、二線ボケの出やすいレンズは構図で工夫したり、絞りで工夫したりある程度対策できます。

 

 

うるさいボケラグビー

開けすぎてラグビーボケ(猫の目)になったりというのも分かりやすいと思います。

 

 

 

多角形ボケ

玉ボケ写真で絞りすぎて多角形ボケになったりも背景がうるさいですよね。

タマネギボケ

最近の高級高解像レンズだと玉ねぎボケ(年輪ボケ)がでます。これも絞ってボケを小さくして目立ちにくくさせたり、という対処が必要です。

玉ネギボケのレンズはボケが汚いわけでなく、玉ボケと相性が悪いだけです。他のものをボカすと素直でスムーズなボケだったりします。

 

 

ボケ味

それだけでなく、レンズによってボケの味は全く違います。そのボケ味を語る人も最近すくなくなってきたのかなと思います。メーカーのレンズやカメラの説明を見ると大きくボケればボケ味がいいという説明を目にしたりしますが、ボケ味とボケの大きさはイコールではありません。

いいレンズだから、いつでもきれいにボケるわけではありません、ボケ味によって撮り方の工夫が必要です。

SAL85F14Z(SONYPlanar85)とSAL135F18Z(sonnar135)は全くボケの質の違うレンズです。

 

SAL135F18Z

SAL135F18Zの方はいわゆる優等生レンズで解像力も当時トップクラスというよりトップのレンズでそれでいてボケもきれい。そのボケ味も優等生なすっきりしたボケでどう使ってもきれいに撮れるレンズです。前ボケは決してきれいではありません。さらに最大撮影倍率も0.25倍と寄れるレンズなので、私にとってかなり出番の多いレンズでした・・・があんまりおもしろくないレンズでもあります。

SONY DSC

 

SAL85F14Z

SAL85F14Zplanarの方はというとじっとりとしたボケをします。水墨画や書道のにじみのような味だと思います。使いどころによっては汚いボケです。はまるとなんとも言えないボケになります。前ボケもあんまりきれいではないと思います。自分の場合は梅雨とか、夜とか和風なものに使いたくなります。梅雨も東アジアにしかない気候のようです。飛躍しますが、梅雨も日本的な文化のようなような気がします。このレンズが一番のお気に入りのレンズです。

SONY DSC

 

SAL135F28

SAL135F2.8STF,SEL100F2.8STFはまだあんまり使い込んでいないのですが、とことん柔らかいボケです。このレンズはきれいなにじみだと言われますが、自分はきれいなにじみというよりは、SAL85F14Zが抹茶(粉末)だとすると、粉末を水で薄めたポカリスエットのようなイメージです。ガウス処理をしたようなボケだと言われたりしてます、自分もそう思います。ガウス処理したようなボケなので使い方によっては不自然なボケになるなと思っています。

SONY ILCA-99M2 (135mm, f/4.5, 1/160 sec, ISO125)

 

 

 

 

 

 

まとめ

リンクは並木隆氏のCP+2017年SONYセミナーのSONY公式動画です、意図するボケを作るための背景選びで四国から大阪を探してやっと見つけたそうです。したい表現のために被写体選びにとことんこだわられているわけです。ボケという事も写真ということもそれだけ奥深いものなんだなと改めて思いました。いいレンズだからこそボケの使い方にこだわっているということですね。

いいレンズを使っても、ただボカせばボカす物によって汚くなります。

ただボカすのでなく、どうのようにぼかして、どのような効果を狙って、写真という一枚の作品を作るかを考えることが大事なのではないでしょうか。

最初からボケ味や効果的なボケの使い方なんてわからないですし、枚数をたくさん撮って考えていくしかないと思います。

とにかく考えて、構図の一部としてしっかりボケに意図を持たせる必要があります。

 

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